目薬よくなくす

たまに心臓めっちゃ痛い

下り坂

 

 

 街道沿いにチラホラとチェーン店やマンションが並び、その後ろに住宅地がくっついている ギリギリ町と呼べる場所を自転車で通り過ぎ、完成まで2年半ほどかかったそれほど大きくない橋を渡って、神社と公園を回り込むと 平坦な田園地帯に出る。家畜たちの生きている臭いをさせている古い施設を横目にひたすら田んぼと田んぼの間の道を向かい風に歯向いながら進むと、山の上に建つ九州大学のふもとに着く。伊都ストレートと呼ばれる玄関口的な道路とは反対方向に曲がり、古い民家の立ち並ぶ路地に入って行く。その先の少しの坂道を倒れてきている竹を避けながら 軽いギアで登ると、雑木林の中に駐輪場がある。そこからキャンパスへ続く坂道を自転車を押して歩く。まあまあ大きいサイズの虫の羽音、ミミズの死骸 その横を素早く通り過ぎるトカゲ。猛暑が続いたあと突然やってきた涼しい気候の中でさえ汗をかくのには十分な距離を登ると見慣れた工学部の建物に辿り着く。再び自転車に乗り、隙間の道をするすると走れば 真新しい農学部棟が現れる。ひとつも車が停まっていない異様な広大な駐車場を過ぎると風力発電の羽が近くなってくる。徐々に勾配が緩くなる道をゆっくり進めば、山の頂上にある体育館に到着する。
 体育館の横の課外活動施設の一室でライブをして 帰る頃には暗くなっていた道を下り坂のスピードで駆け下りたら、同じ道とは思えないほど簡単に山から降りてきてしまった。
 夜の涼しさで汗はかかなかった。8月はもうすでに折り返していた。折り返してからはきっと早い。